ピークス

2019.1.24

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筆とまなざし#116「絵とフリークライミング。絵から見える自分の活動の変化」

通っているクライミングジムのオーナーから、新しいフリークライミングの雑誌を作りたいという話を聞いたのは1年ほど前のことでした。初心者を対象とした岩場への手引書という位置付けで、主に東海地方のクライミング情報を掲載。雑誌といってもA5版30ページほどの冊子で、昨年創刊したのでした。エリアの情報からレジェンドクライマーのインタビューやエッセイなど、オーナーの興味の赴くままの内容で構成されています。

ぼくの担当は表紙絵を描くこと。毎号、フリークライミングにまつわる水彩画を描いていて、創刊号は笠置山でのボルダリングの絵でした。そして次号のお題は「ダイヤモンドスラブ」。クライマーの間ではよく知られた、豊田にあるハイボルダーのスラブです。スラブというのは、傾斜のない岩のことで、結晶に立ち込んだりシューズの摩擦を効かせて滑らないように登ります。難しいルートはホールドに乏しく、豊田グレード「d(1級くらい)」のダイヤモンドスラブはとてもデリケートな課題として知られています。ぼくは昔少し触っただけで、そのまま完登できずにいまに至ります。

初登されたのは1985年ごろ。アメリカから日本にフリークライミングが伝わった黎明期です。もちろん当時はボルダリングマットなどありません。大きな岩はトップロープ課題として登られていたそうですが、豊田には比較的小さなボルダリングに適した岩が無限といえるほど点在し、当時からボルダリングが盛んに行なわれて独自の発達を遂げてきたエリアともいえるでしょう。ダイヤモンドスラブはそんな豊田のクライミングを象徴する課題の一本です。

最近、この連載でもフリークライミングの絵を描くことが多くなりました。それは自分の活動が登山からフリークライミングに移ってきたということを象徴しています。そして、これまで自分のなかで結びつかなかった絵とフリークライミングとが自然に溶け合い、クライマーがモチーフとして登場するようになったのです。

そんなフリークライミングの絵を集めた展覧会が、来月8日からカモシカスポーツで始まります。松本店と横浜店の巡回展で、スケジュールは以下のとおりです。

カモシカスポーツ山の店・松本店 2019年2月8日(金)〜17日(日)

カモシカスポーツ山の店・横浜店 2019年2月23日(土)〜3月10日(日)

現在、鋭意制作中です。

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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