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2018.8.1

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筆とまなざし #097「南仏クライミングトリップのはじまり、オリピエール」

6月末から7月にかけての3週間、南フランスにクライミングトリップに行ってきました。クライミングの本場、南仏。ヨセミテで確立されたフリークライミングがヨーロッパへ渡り、クラックではなくフェイスをボルトプロテクションで登るスポートルートとして花開いた。その中心が南仏なのです。カランクなど地中海に面した岩場から、ベルドン、ヴォルクス、セユーズなど内陸にいたるまで、そこかしこに石灰岩の岩場が点在。スポートクライミングの世界を牽引してきた地方だといっても過言ではありません。

プロバンス地方の多くの岩場のクライミングシーズンは秋から春にかけて。では、どうして夏に出かけたかというと、7月から9月にかけて、アルルという小さな町で行なわれるフォトフェスティバルを訪れるためでした。アルルはゴッホが入院した精神病棟のある町で、絵のモチーフにもなっています。パートナーは10年前にイベントに訪れたそうで、とても良かったので再訪しようということになったのです。標高2,000mにあるセユーズは夏でも登れるし、梅雨時の日本から脱出してできる。ちなみに、セユーズはクリス・シャルマによる世界初の5.15aルート「Realization」があることで有名です。テクニカルかつ長いルートがひしめく、世界有数のクライミングエリアです。

ニース空港に降り立ち、レンタカーを借りて北へ。すぐにセユーズへ向かうつもりが、そこはアプローチに山道を1時間登らなければならないことでも有名で、移動日にさっそく登りたいと思ったため、セユーズの近くでアプローチの短い岩場を探してみました。すると、1時間ほどのところにオリピエールという岩場があることがわかりました。アプローチは10分。夕方からでも登れそうです。

慣れない右側通行の高速道路をかっ飛ばし、慣れないターンアバウトをやりすごす。谷は次第に狭くなってきました。白い壁とオレンジ色の瓦屋根、入り組んだ古い小さな町並みからさらに細いデコボコ道に入り、この先に町があるのか不安になりながら進むと、右手に巨大な岩峰が姿を現しました。

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オリピエールは、周囲を岩壁と岩峰に囲まれた谷間にあり、教会を中心にして数件のレストランとツーリストインフォがあるだけの、ごくごく小さな村でした。それでも、クライミングをひとつの観光資源としているそうで、教会の隣にある古い石造りの建物の地下にはクライミングショップがありました。トポとキャンプ用のガスを買い、キャンプ場へ向かいます。

キャンプ場は教会から車で数分のところにありました。トイレはもちろん使い勝手の良いシャワーも完備、プールまで付いています。途中に小さなスーパーがあり、食料品も調達できそう。村が小さいぶん、身近な範囲にすべてが整っています。

テントを張り、食料を買い出してさっそく岩場へ。オリピエールには大きく分けて9つのエリアがあり、一番近いエリアへは教会の横のトレイルを10分も歩けば到着しました。日向は肌を突き刺すような暑さながら、乾燥しているため日陰は涼しい。午後から岩場は日陰になるので、ちょうどその時間からクライマーがちらほら登りにやってきていました。緯度が高いため午後9時半まで明るく、夕方から登っても十分たのしめるのがうれしい。訪れたエリアは横にずらりと石灰岩の前傾壁が連なっており、ここだけでもルート数は150本近くあります。グレードもやさしいものから8c(5.14b)まで。30m以上のルートも多く、取り付いたルートのどれもが非常におもしろかった(フランスのクライミングの歴史を現すようにチッピングホールドは多かったけれど)。

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オリピエールには少しだけ滞在するつもりでしたが、結局5日間滞在することになりました。レスト日には近くの町に散策に行き、アンティークショップでホーローの鍋ふたつを10ユーロでゲット。旅の間の調理はこの鍋で行ない、帰国後も自宅で活躍してくれています。最終日には村のシンボルともいえる岩峰「Quiquillon」で標高差120mの簡単なマルチピッチクライミングをたのしみました。この岩峰には30本近いマルチピッチルートがあり、最高グレードは5.13b。アプローチわずか15分のところにこんなルートがあるなんて。フランスでクライミングが盛んなわけです。

さて、まだまだ登り足りないのですが、オリピエールはまだ序の口のはず。世界中のクライマーが訪れるセユーズはどんなところだろう。荷物をまとめ、さらに北を目指すことにしました。

 

【連載一覧はこちら!】

 

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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