ピークス

2019.3.28

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筆とまなざし#124「甲府、太刀岡山にて。春先のマルチピッチクライミング」

里山でのマルチピッチクライミング

山梨県を訪れた折、ついでに甲府の北に位置する太刀岡山を訪れました。太刀岡山の標高は1295m。ハイカーにも人気の低山ですが、山の中腹には安山岩の岩場があり、クライマーにも親しまれています。魅力的なショートルートが多い太刀岡山をさらに面白くさせているのがマルチピッチクライミングが楽しること。左岩稜、右岩稜といって、左右の岩稜がクライミングルートとして登られているのです。人気なのは左岩稜で、クラックがあったりナイフリッジがあったりと変化に富んだピッチが多く、最後はハサミ岩という尖った岩のてっぺんまで登ります。里から近い低山でありながら、楽しいマルチピッチクライミングが楽しめるのです。

甲府市内から車で30分ほど走ると駐車場に到着。太刀岡山のクライミングシーズンは5月からとあるように日陰は結構寒い。とくに、左岩稜はピークの北西に位置するためなかなか日が当たらなさそうです。このルートを登るのは二度目なので取付きもすぐにわかり、ギアをラッキングしてクライミング開始。1ピッチ目がもっとも難しい5.9のクラック。2ピッチ目と3ピッチ目を繋げて登り、ビレイ。ここが日陰の吹きっさらしでかなり寒い。長袖のアンダーにTシャツ、パワーストレッチのフーディーにウインドシェルという装備ですがどんどん体温が奪われていきます。素足のためつま先の感覚はまったくなくなってしまいました。もう少し暖かい格好で登ればよかったと思いつつ、登り続けるしか体を温める方法はないので続く4、5ピッチも繋げて登るとようやく少しだけ日差しが当たるようになりました。易しい岩稜をたどると、左右がすっぱりと切れ落ちた場所にたどり着きました。このナイフリッジが左岩稜のハイライト。すばらしい高度感です。登っているとあまりわからないのですが、見下ろすとアルプスの険しい岩場を登っているような光景です。

さらに1ピッチ登るとハサミ岩と呼ばれる、尖った岩の基部にたどり着きました。左右に尖った岩があるので遠くから見るとハサミのように見えるのでしょう。大きなほうの岩のスラブが最終ピッチ。ようやくお目見えした日差しのなかで岩峰の上に立つと、真っ白い富士山が出迎えてくれました。暖冬でしたが先日の降雪で新たに雪化粧した南アルプスも望め、近くの山の稜線には冬枯れの木々が産毛のようにシルエットとなって立ち並んでいました。

ついつい目先の目標ルートにばかり意識が向かってしまいますが、岩登りへの愛情を忘れないために、たまにはこんなクライミングに出かけるのも良いものなのでしょう。

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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