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2019.11.1

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筆とまなざし#153「春先からの笠置山ルートづくり。七つ道具を持って岩掃除」

今年は春先からずっと、笠置山を歩き回っては良さそうな岩を見つけ、岩の掃除をしていました。来年春に新しいエリアを公開することになり、新しいボルダリング課題やルートを作っていたのです。山を歩き回ると手付かずの岩があちこちにゴロゴロ。フィックスロープを張り、熊手、2種類のワイヤーブラシ、ヘラ、豚毛やナイロン毛のブラシ数種類、折りたたみノコギリなどの七つ道具の入った道具袋をぶら下げて懸垂下降。岩の上に溜まった土を熊手やヘラなどで掻き落とし、ワイヤーブラシで岩にびっしりと蔓延った苔や岩茸を落とします。クラックに詰まった土や根っこを掻き出すのも大変で、大きな岩になると掃除だけで丸2〜3日かかるのもざら。岩の上や周辺に生えた木もある程度間引いて細かく刻み、一カ所にまとめます。灌木が生い茂っていると岩の乾きが悪くてすぐにまた苔が生えてくるし、いつまでもジメジメしていて居心地が悪い。ある程度開けて、風通しの良い場所にすると、見違えるほど居心地良いクライミングエリアになるのです。切った木で課題の下地を作ったり、アプローチの道を整備したり。肉体労働でキツイのだけれど、子どものころの砂場遊びに似ていて、ひとりで黙々と作業しているといつの間にか夕方になっているのです。一度掃除した岩も、土が乾いたら今度は丁寧にブラシで表面にくっついた土を落とし、ホールドをチョークで磨いてようやくまともに登れるようになります。8割方そんな作業で、実際に登るのは残りの2割ほど。それでも、1日の作業を終えるとなんともいえない満足感に満たされ、次に訪れて登るのが待ち遠しくてたまらなくなります。そして、その課題を登ってしまうとすぐに別の岩が気になり、同じ作業を延々と続けているのです。

そんな開拓作業も今月末で一区切り。ルート集の素材をまとめる作業に取りかかりました。歩けば歩くほど登りたい岩が見つかってしまうのだけれど、笠置山での大規模な開拓とエリア公開は今回が最後になるようで、今後は公開エリア内での小規模な開拓になりそうです。そう思うと、なんだか少し寂しくなってきます。

思えば、20代は絵や文章で仕事をするために必死になった10年間でした。そして30代は笠置山に捧げた10年間(まだ数年残っているけど)だといっても過言ではありません。笠置山に関わりつつ、自分のクライミングスキルを多少なりとも磨いた時間。笠置山開拓が一段落しようとしているいま、ふと、次の10年間を想像したりしています。

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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