2016.8.10

  • facebook
  • twitter
  • hatena
  • LINE

【連載:筆とまなざし】真夏の小さな物語

毎日暑い夏の陽射しが降り注いでいます。

岐阜の山村といえども、日本でもっとも暑い町のひとつ、多治見市に近いこの場所はなかなかの暑さ。町よりも標高が高いため、朝晩が涼しいのがせめてもの救いです。

 

栂海新道から帰ってきてからはいつものように岩場通いを再開し、先日は山形県に住む兄を訪ねてきました。

さて、新しい仕事に取りかかろうと、しばらくぶりにアトリエ小屋に行くと、テラスの上に大きな黄土色のかたまりがどさりと落ちていました。

見上げると、三角屋根の庇(ひさし)のちょうどてっぺんについていたはずのスズメバチの巣がなくなっています。そう、落ちていたのは大きな大きなスズメバチの巣でした。

 

EPSON MFP image

 

大きく張り出した庇の一番見栄えのする場所にスズメバチが巣作りを始めたのは2年ほど前。巣はどんどん大きくなっていきました。

しかしこちらが危害を加えなければ、ハチはそうそう襲ってきません。それにスズメバチの巣は縁起物。小屋の庇にまるでベルのようにできた巣は完璧なデザインで、冬になってハチがいなくなった後もそのままオブジェとして残していたのでした。

周りに枯れたコナラの枝が落ちていたのを見ると、強風で落ちてしまったよう。そういえば、最近は毎日激しい夕立があり、大雨と突風のような風が吹いていたなと思い当たりました。

巣が落ちてしまったのは残念ですが、これも自然の道理。少し留守をしている間に、そんな自然のサイクルがしっかりと繰り広げられていたのだなと、改めて感じる出来事でした。

 

06_2-2

 

自然の道理といえば、小屋の中にセミがカラカラになって死んでいたのもそう。

いつの間にか小屋に入り込んで出られなくなったのでしょう。損傷もなく、とてもきれいな形でキッチン台の上に転がっていました。緑がかった身体に幾何学模様のように繊細な羽根。そこにはフィルムのような透明な膜が張られています。

生きているセミを描くのは大変なので、ちょうど良いモチーフが見つかったとさっそくスケッチ。モチーフになってくれてありがとう。

 

さて、今日も夕立が来るのかな。そんなことを思いながら絵を描く夏の一日です。

 

 

【第1回】山の小屋から http://sharethemt.com/pleasure-1606
【第2回】夏になったら―― http://sharethemt.com/pleasure-1748
【第3回】北アルプス、そのまた北へ(前編) http://sharethemt.com/pleasure-1969
【第4回】北アルプス、そのまた北へ(中編) http://sharethemt.com/pleasure-2043
【第5回】北アルプス、そのまた北へ(後編) http://sharethemt.com/pleasure-2109

 

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

関連カテゴリ・タグ

今、あなたにオススメ

親子アウトドア

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

おススメルート

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

山の楽しみ方

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

山レシピ

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

page top