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2017.8.23

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筆とまなざし #056「岐阜から岡山まで、ぶらり大人の青春18きっぷの旅」

週末は岡山に行ってきました。大学生時代の友人の結婚式に出るためです。車で行こうと思っていたけれど、ふと思い立ちました。いまは夏休み、18きっぷが使える季節です。

大学生時代は本当にお世話になった18きっぷ。卒業するとき、社会人になっても18きっぷで旅ができるような大人になりたい、と密かに思ったことを思い出しました。これはちょうど良い機会だとばかりに18きっぷを購入しました。

ぼくが大学生のときだから、もう15年以上も前から使っている18きっぷ。当時は\11,500だったけれど、今は消費税のためか\11,850に値上がりしていました。しかしそれ以外は当時のまま。いったいこの切符はいつからあるのだろう。調べてみると、前身となる「青春18のびのびきっぷ」が発売されたのが1982年。ちょうどぼくが生まれた年でした。いまとは値段も仕様も少し異なっていたようで、翌年に「青春18きっぷ」になり、84年に現在のように5回分使えるようになったらしい。

中学生のころに某アウトドア雑誌でやっていた「18きっぷで1日にどこまで行けるか」という企画に心ときめかせ(東京から九州のどこかだったはず)、高校生時代は日帰りで京都や大阪のクライミングジムにも行っていました。大学生になると、帰省のときはもちろん、北海道の大雪山や知床を回ったり、鹿児島まで行って屋久島に行ったりと、長期休みのたびに使っていた18きっぷ。大学時代の友人の結婚式に行くというのもなかなか良いアイデアです。結婚式の前日の朝、雨の降る駅を出発しました。

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ところが、雨がどんどん猛烈になり、なんと4駅進んだところで電車が停止。雨雲レーダーを見るとこの地域だけ真っ赤に。最悪1~2時間くらいかかりそうだと思っていたところ、いきなり5時間の足止めをくらいました。普段ならカリカリしてしまいそうな遅れだけれど、しかしそこは18きっぷ。今日のうちに岡山に着けばいいやと気持ちになんだか余裕があります。これも18きっぷのマジックかー、と思いながら鈍行列車に揺られて名古屋へ。接続はスムーズで、米原からは姫路行きの快速列車で一気に兵庫まで。瀬戸内海を眺めながらだんだん空が暗くなり、岡山に着いたのは午後8時30分ころでした。岐阜は海なし県。海に来たならお刺身だ、と海鮮居酒屋で舌鼓を打ち、宿へ向かいました。

このところずっと雨だったけれど、結婚式当日は夏の青空が広がっていました。ひさしぶりに会う友人の晴れ姿、学生時代の仲間も集まっての結婚式でした。昼すぎに披露宴が終わったので倉敷へ。中学時代の修学旅行で訪れた大原美術館を再訪し、翌日帰路につきました。

最近はどこに行くときも、目的地までは単なる移動でしかありませんでした。できるだけ効率の良い(時間と費用との兼ね合い)方法を選んで目的を達成してすぐに帰るというのが常。仕方ないといえば仕方ありません。でも、18きっぷを使うと目的地までの移動自体が目的のひとつになり、旅の過程になる気がします。移動するにしたがって変化する乗客の言葉や食べもの。車窓から見える山並みや海、そこにある家々の屋根。たった3日間の旅だったけれど、なんだかひさしぶりにお腹がいっぱいになったのでした。町への旅行だけでなく、登山に使えばその道中さえも思い出に残る山旅になるでしょう。使用期間は9月10日まで。時間が許せば大人の青春18きっぷの旅、おすすめです。

そういえば、今回は18きっぷで旅行する高齢者をたくさん見かけました。そのうちに青春68きっぷなんてのも出てきたりして。

 

【連載一覧】
#001 山の小屋から
#002 夏になったら――
#003 北アルプス、そのまた北へ(前編)
#004 北アルプス、そのまた北へ(中編)
#005 北アルプス、そのまた北へ(後編)
#006 真夏の小さな物語
#007 初めてのマルチピッチ(前編)
#008 初めてのマルチピッチ(後編)
#009 星野道夫さんに会いに行く
#010 吉田 博と「劔山の朝」
#011 上高地スケッチ絵画講座、開講
#012 偉い! とうなったおすすめギア
#013 ドロミテ山塊へのクライミングトリップ
#014 笠置山クライミングエリアの開拓
#015 秋のよろこび、中津川の味覚「栗きんとん」
#016 ようこそ ようこそ 笠置山クライミングエリア
#017 カフェのご主人、お客さんと、秋の野外水彩画教室
#018 3代目の山道具、ラ・スポルティバのボルダーXミッド
#019 山と道具の2017年カレンダー
#020 ちびっ子クライマーたちの外岩デビュー
#021 鍛金ワークショップで自分だけの山道具を作る
#022 太平洋に面した“最果ての地”のクライミング
#023 菊池哲男さんが写した、美しきアルプスの星夜
#024 憧れのヨセミテと、クライミング計画2017
#025 アウトドア文化としてこの地域に根差すために
#026 年末年始の相棒に、拳大の小さなストレッチギア
#027 中津川のお正月。明けましておめでとうございます
#028 名古屋で『吉田博 木版画展――抒情の風景』を見る
#029 名古屋の古着屋でめぐり合った、お守りのカラビナ
#030 徳島県は日和佐海岸へ、6日間のクライミングトリップ
#031 展示会シーズン! 笠置山クライミングエリアのために
#032 長衛小屋の手ぬぐいと、カモシカスポーツのTシャツ
#033 すてきな山の紙モノを見つけられる『アラスカ文具店』
#034 クライミングトリップの新しい相棒は超大型ギアバッグ
#035 東海の名物ルート、運否天賦(5.13c)にご対面
#036 笠置山クライミングエリアでアウトドアフリマを開催!
#037 特注品もオーダーできるナンガのコンセプトショップ
#038 笠置山クライミングエリアで講習会を開催します!
#039 早春の根ノ上高原から、残雪の恵那山を見上げる
#040 初めての笠置山登頂は高橋庄太郎さんといっしょに
#041 日本百名山・恵那山の麓で原画展を開催します
#042 自然の造形と想像力。初めてのアウトドアクライミング
#043 アメリカ、赤茶けた大地へのクライミングトリップ
#044 アメリカ、インディアンクリークでのクラック強化合宿
#045 南アルプスを描いた山梨県・白山でのスケッチ教室
#046 クライムオン!! でトラッドクライミング入門講座
#047 穏やかな春の味覚。山菜と木曽地方の朴の葉料理
#048 ついに念願叶ってインストラクター資格を取得
#049 アラスカ、アンカレッジ取材で出合った老舗登山用品店
#050 複製画も並ぶ展覧会『北アルプスの風景』を開催します
#051 アメリカ西海岸の風が吹くナチュラル アンカーズ
#052 夏の一日、森をめぐる物語
#053 アルパインクライミングで楽しむ夏の八ヶ岳
#054 潔い子どもたちと、夏の高尾山で山のスケッチ教室
#055 雨続きの8月、クライミングエリアの開拓にひと汗かく

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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