ピークス

2018.3.19

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筆とまなざし #082「オオイヌノフグリにツツジ……穏やかな春の昼下がり」

ここのところまだダウンが手放せなかったのに、今日は長袖のTシャツとフリースだけでアトリエ小屋へやってきました。日向にいるとフリースを脱いでもちょうど良いほど。陽射しは明るく、すべてが陽気な雰囲気に包まれています。花粉症さえなければ最高の季節なのに……春が来るたびにそう思わざるを得ません。
花粉症だったり、バタバタする日が続いたり、はたまた肌寒い日があったりと、最近は体調がいまひとつでした。昨日は仕事で京都まで行っていたのですが、仕事が終わった途端に身体がぐったり。フラフラになりながら車を運転してなんとか帰宅、薬を飲んですぐに眠りについたのでした。発熱と頭痛で今朝の体調もイマイチでしたが、午前中に少し休んだおかげでなにかをする気力を取り戻し、暖かな陽気に誘われてアトリエへやってきたというわけです。
数日訪れないうちに、小屋のまわりにも少しずつ緑が広がってきました。ツツジがやわらかな若葉をつけたかと思うと、いつの間にか蝶々も舞い、土手にはオオイヌノフグリが咲かせていました。春、まっさきに花を咲かせるこの小さな青い花を見るときほど季節の移ろいを感じることはありません。それは、凍てつく冬と麗らかな春との差があまりに大きいからなのでしょう。その姿と対照的だから、大地に這うように咲くオオイヌノフグリはよりいっそう逞しく見えるのだと思います。少し前から、オオイヌノフグリが花を咲かせたらスケッチしようと思っていたので、今日は格好のチャンスです。
土手に座って描き始めますが、花が小さすぎるし風邪のせいで頭がぼおっとしてなんだかよく見えません。腹ばいに寝転がり、顔を花に近づけます。それまで漠然としか見えていなかった対象がひとつの花に絞られ、構造まで観察できるようになりました。お腹に伝わる地面の冷たさと照りつける陽射しの暖かさ。数日前までは冷たかった風も、今日は吹かれるのが心地良い。鉛筆を置いてうつ伏せになるとウトウト……。ひさしぶりにすごす穏やかな春の昼下がりでした。

 

【連載一覧はこちら!】

 

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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