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2018.10.31

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筆とまなざし #109「アトリエ小屋の周りに転がる秋の味覚、むかご料理」

「あんたの小屋に行く途中にもあるわよ」

母親にそういわれたのは「むかご」のこと。自然薯の蔓にできる小さな自然薯。コロコロとした小さな粒は、それだけでも自分が自然薯であることをしっかりと主張するくらい濃い味がします。ご飯といっしょに炊いたむかごご飯は絶品。もう何年も食べていませんが、はて、アトリエ小屋の近くにもあるとは? まったく気にかけていなかったので見落とすどころか気づいてもいませんでした。

子どものころ、年末になると実家の周りの山で父と自然薯掘りをしました。葉っぱのある秋のうちに蔓を探して根元に目印を付け、葉を落とした年末に掘るのです。正月に自然薯のとろろご飯を食べるのが成瀬家の楽しみなのですが、自然薯はそう滅多にあるものでもなく掘るのも大変。見つけたとしてもイノシシとの戦いに勝たないと自然薯にはありつけません。

小屋に行く途中、細長いハート形をした、黄色に染まった葉っぱを目印に探すと、たしかに、蔓の途中に焦げ茶色のコロコロとした芋がついていました。少し触っただけでコロコロと地面に落ちてしまうので、静かにひとつづつ収穫します。試しにひとつ口の中に放り込むと、

「シャリシャリ」

心地よい歯触りとともに、独特な粘り気がかすかに舌に広がります。味は自然薯そのもの。15個ほど収穫し、カバンのポケットに入れて帰宅しました。

今晩のご飯はもう炊いてしまったし、どうしようかと思いついたのがサラダへのトッピング。茹でるとホクホクして、これもまた旨し。

最近は絵を描くことに追われ、毎日スケジュールを気にしながらの日々が続いています。むかご採りは、そんな毎日の唯一の癒し。ほっとひと息、なんだか満たされた気持ちにさせてくれるのでした。

今週は大切な来客があります。その時はむかごをたくさん採って、むかごご飯でおもてなししましょう。

 

【連載一覧はこちら!】

 

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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