ピークス

2018.8.28

  • facebook
  • twitter
  • hatena
  • LINE

大町登山案内人組合ガイドさんと行く、後立山連峰をめぐる山旅【Vol.3】

大町登山案内人組合ガイド、そして北アルプス北部遭対協救助隊員である矢口拓さんと行く、後立山連峰をめぐる山旅連載。3日間の工程を1日ごとにお送りしていきます。
今回は第3回目の最終回。
後立山の山旅3日目は種池山荘から出発し、最終地点は今回の縦走路の最高峰、鹿島槍ヶ岳を目指す、最後まで大充実の山旅をお送りします。

*****

GT_1264

山小屋の眼前に迫るのは「爺ヶ岳」。山旅3日目、私たちは種池山荘を出発して、まずは南峰を目指した。
昔から地元の中学の「学校登山」で登られてきた山でもあることから、矢口さんにとっても中学生のころから馴染みがあるという爺ヶ岳。「春になると雪が解けて、『種まき爺さん』の雪形が現れることからついた山の名で、この雪形が里で農作業を始める合図ともなるんです」と、自身も農家を営む矢口さんならではの目線で説明してくれた。
あとで「種まき爺さん」の雪形の写真を見てみたが、そのイメージに繋げるにはなかなか容易くない。山や自然とより密接に生きてきた先人たちは、きっと現代に生きる自分たちには持ちえない発想とユーモアに溢れていて、季節のひとつひとつの事柄を大切にしていたのだろうかと想像を及ばせる。

GT_1425

山頂に立つと、一面に広がる雲海が眼下を覆う。静かにたゆたう青白い海がどこまでも続いているようだ。しばらくすると、雲の大海原の際からゆっくりと赤く染まり、あたりに美しい赤い光が注がれた。ゆっくりと、朝日が顔を覗かせる。思わず息をのんでしまうようなこの光景に目を奪われ、しばらく足を止めていた。

GT_1620

爺ヶ岳は「南」「中央」「北」の3つの峰からなる。次は三峰のなかでもっとも標高の高い中央峰に立った。目指す鹿島槍ヶ岳の双耳峰が迫る。立山連峰も近く迫力を増す。そこに種池山荘のかわいらしい姿が重なり、童話の世界のような景色を作り出していた。

GT_1760

絶景に後ろ髪を引かれながら、赤岩尾根分岐を経て、鹿島槍ヶ岳の麓にひっそりと建つ、冷池山荘に到着した。出迎えてくれたのは支配人の望月一人さん。
作業着で「小屋周りの仕事が残っていまして。夏休みの宿題は、最初にやってしまうようにしているので」と笑い飛ばす。気さくな笑顔に明るく飾らない人柄が滲んだ。

GT_2075

百名山でもある鹿島槍ヶ岳について聞くと、「コンパクトななかにいろいろな表情があるのがいいですね」といい、多彩な高山植物と、歩きやすい登山道、南峰を越えて変化する山の様子など、長く山を見守るからこその魅力を愛情たっぷりに語ってくれた。
そんな鹿島槍ヶ岳の山頂を目指して小屋を出発。望月さんの解説どおり、まず色とりどりの多彩な花が歓迎してくれた。

GT_2005

さらにハイマツのあいだから顔を覗かせたのは2匹のライチョウ。天候の優れない日に姿を見せるライチョウが、晴天の空の下で出合えるのは珍しいこと。彼らに出迎えられたこともまた幸運なことだ。可愛らしいライチョウの姿に癒されながら、縦走路へと、先へ進める。

GT_2037

次は稜線の登山道。空へ延びていくような斜面は美しく、歩きごたえがある上り坂。布引岳を経て、沿道の花を愛でながら山頂へ。

GT_1953

ぐるりと見渡すパノラマが広がった。槍穂高、裏銀座、白馬連峰、もちろん3日間歩いてきた後立山の山々も。この山々を越えてきたのだ、ここまでたどり着いたのだ、という実感をひしひしと噛みしめ、晴天の下で見渡たすこの光景に感無量。

GT_1966

青空からはじまり青空で終わる。晴天と小屋で出会った方々のやさしさに包まれた後立山連峰は、忘れられない旅となった。帰りは信濃大町でゆっくり温泉に浸かって帰ろう、と帰路についた。

*****

最終日3日目は種池山荘を出発し、爺ヶ岳(2670m)-冷池山荘ー布引山(2683m)-鹿島槍ヶ岳(2889m)、折り返して柏原新道を経てゴールとなる。今回の山旅のフィナーレともいうべき鹿島槍ヶ岳までの縦走路は圧巻で、山頂に立ったとき、この3日間歩いてきた景色を見渡すことができるのもまた感慨深いことだろう。今回は鹿島槍ヶ岳の南峰のみまでのルートだが、体力と登山力がある方はその先の北峰もぜひ踏んでいただきたい。

usirotaeyama_map

文◎矢口 拓 、阿部 静 Text by Taku Yaguchi,Shizuka Abe
写真◎後藤武久 Photo by Takehisa Goto

 

*****

この3日間に及ぶ山旅の舞台となった後立山連峰の麓の街、大町市。本連載【Vol.1】でもご紹介したように、今回3日間わたしといっしょに歩いてくれた矢口拓さんが所属する山岳ガイド組織「大町登山案内人組合」を立ち上げた人物、登山家の百瀬慎太郎ゆかりの地でもある。
この偉大な登山家を生み出し、山と自然とともにある大町市では、今年も「信濃大町山フェス 2018」が開催される。
北アルプスに訪れるのなら、ぜひ、山の文化を生み出したこの街に降り立って、イベントに立ち寄ってみてはいかがだろうか。
イベントの詳細は以下よりチェックを!
https://www.omachi-promotion.com/%E4%BF%A1%E6%BF%83%E5%A4%A7%E7%94%BA%E5%B1%B1%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B92018/

 

関連カテゴリ・タグ

今、あなたにオススメ

親子アウトドア

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

おススメルート

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

山の楽しみ方

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

山レシピ

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

Promoted

星空観察:夏の大三角形を見る!

More

page top