2016.6.10

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梅雨明けに目指すべき花の山

梅雨が開けると、高山植物たちの短い夏が始まる。
「花の山」と称される山々のおすすめコースガイド。
あなたはどう歩く?

 

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1
花見ごろ7月上旬~8月下旬
北アルプス 朝日岳/白馬岳
蓮華温泉→朝日岳→白馬岳→小蓮華山→栂池

白馬岳一帯では345種の高山植物が確認され、高山植物の宝庫と言われている。昭和27(1952)年には特別天然記念物「白馬連山高山植物帯」に指定されており、朝日岳〜白馬岳はそのエリアの中心といえる。
蓮華温泉から歩き始め、兵馬ノ平や五輪高原では湿原植物を、五輪尾根からは様々な花が現れる。朝日岳を越えると朝日小屋だ。
2日目は、朝日小屋から樹林帯の水平道を辿る。途中の湿原を過ぎ、雪倉岳と鉢ヶ岳のコルに至ると、その東斜面に見事な花畑が広がっている。三国境付近の礫地はコマクサの群生地だ。やがて本州ではここと八ヶ岳でしか見られないウルップソウと出会うだろう。
3日目、小蓮華山を越えて栂池平へ下る。栂池自然園の湿原植物は一見の価値ありだ。

所要日数:2泊3日
総コースタイム:約23時間
難易度:夏山登山中級者向け

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高山植物の女王コマクサ。高山帯の砂礫地という厳しい環境で生き抜くため、50 〜100㎝の長い根をもつ

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湿った草地で見られるコウメバチソウ

チシマギキョウ。イワギキョウとよく似ているが、花びらの縁に長い毛があるのが特徴

チシマギキョウ。イワギキョウとよく似ているが、花びらの縁に長い毛があるのが特徴

モウセンゴケは食虫植物だが光合成もする多年草。葉の粘毛から甘い香りの粘液を出し、虫をおびき寄せる。天狗原にて

モウセンゴケは食虫植物だが光合成もする多年草。葉の粘毛から甘い香りの粘液を出し、虫をおびき寄せる。天狗原にて

 

2
花見ごろ7月中旬~8月下旬
中央アルプス 木曽駒ヶ岳
千畳敷→極楽平→島田娘→三ノ沢分岐(往復)

宝剣岳東面にある千畳敷カールでは、美しいお花畑が見られる。カールを周遊し、宝剣岳の南にある島田娘(2858m)を往復するコースだと日帰りでも十分楽しめる。
ロープウェイの千畳敷駅を出ると目の前にカール、その向こうに花崗岩の岩壁に囲まれた宝剣岳が見える。まずは剣ヶ池を囲む遊歩道を周回するのがいい(40分)。ハクサンイチゲやシナノキンバイなど、広葉草原や広茎草原の花が咲いている。次は稜線の極楽平へ。稜線に出るとハハコヨモギとヒメウスユキソウが見られる。島田娘ではチョウノスケソウの群落。三ノ沢岳への稜線分岐まで足を延ばすと木曽駒ヶ岳と宝剣岳西面の岩壁帯が見え、イワヒゲ、ミネズオウなどが咲いている。花を楽しんだら千畳敷駅に戻ろう。

所要日数:日帰り
総コースタイム:約2時間40分
難易度:夏山登山初心者向け

 

剣ヶ池のある千畳敷カールの向こうに宝剣岳が見える。ここは、最終氷期の最寒冷期(2万1000年前)にあった氷河の痕跡だ

剣ヶ池のある千畳敷カールの向こうに宝剣岳が見える。ここは、最終氷期の最寒冷期(2万1000年前)にあった氷河の痕跡だ

極楽平にはハハコヨモギが多い。日本国内ではここと北岳でしか見られない絶滅危惧種である

極楽平にはハハコヨモギが多い。日本国内ではここと北岳でしか見られない絶滅危惧種である

三ノ沢分岐で見つけたコケモモ。赤く熟した果実は甘酸っぱく、欧米ではマウンテンクランベリーとも呼ばれている

三ノ沢分岐で見つけたコケモモ。赤く熟した果実は甘酸っぱく、欧米ではマウンテンクランベリーとも呼ばれている

千畳敷カールのミヤマクロユリ

千畳敷カールのミヤマクロユリ

 

3
花見ごろ7月上旬~8月中旬
南アルプス 仙丈ヶ岳
北沢峠→小仙丈ヶ岳→仙丈ヶ岳→馬ノ背→北沢峠

南アルプスの3,000m峰の中で最北端に位置する仙丈ヶ岳は、高山植物が豊富な山として知られる。その理由のひとつは土が良いこと。山体は赤石層群の硬砂岩・粘板岩・チャートで構成され、その岩石が風化して通気性や保水性のいい土壌となっている。また、適度な残雪量も高山植物に向いた環境を作り出している。
1日目はバスで北沢峠に行き、山小屋かキャンプ場に宿泊。2日目、北沢峠からの樹林帯ではゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、ツマトリソウなどに出会えるだろう。小仙丈ヶ岳近くで森林限界を抜けると高山植物の数が一気に増える。仙丈ケ岳へ突き上げる稜線ではオヤマノエンドウ、タカネシオガマ、イワウメ、ミネズオウ、ミヤマキンバイなど。仙丈小屋付近はキバナシャクナゲが群生している。馬ノ背ヒュッテ経由で北沢峠に戻ろう。

所要日数:1泊2日
総コースタイム : 約7時間10分
難易度:夏山登山初心者向け

仙丈ケ岳藪沢カール。山の北面と東面はゆったりとした山容を持ち、南アルプスの女王と呼ばれる

仙丈ケ岳藪沢カール。山の北面と東面はゆったりとした山容を持ち、南アルプスの女王と呼ばれる

アオノツガザクラは高山帯の雪田草原に生息する。雪田が少ない南アルプスではあまり見られない

アオノツガザクラは高山帯の雪田草原に生息する。雪田が少ない南アルプスではあまり見られない

独特な花びらの形が美しいコイワカガミは、母種のイワカガミの高山型で、その違いは大きさだけ

独特な花びらの形が美しいコイワカガミは、母種のイワカガミの高山型で、その違いは大きさだけ

キバナシャクナゲは日本のシャクナゲの仲間の中で最も標高が高いところで育つ。花は梅雨時が見頃だ

キバナシャクナゲは日本のシャクナゲの仲間の中で最も標高が高いところで育つ。花は梅雨時が見頃だ

 

 

 

4
花見ごろ7月下旬~9月上旬
伊吹山地 伊吹山
伊吹登山口→三合目→伊吹山頂上遊歩道周回(往復)

滋賀県最高峰(1,377.3m)の伊吹山山頂一帯には亜高山性植物のお花畑が広がる。平成15(2003)年に「伊吹山頂草原植物群落」として天然記念物に指定された。ここは昔から植物研究の山とされ、イブキの名が付く植物は全部で37種もある。シダ植物以上の高等植物は約1300種と多く、そのうち約300種が民間薬に使われてきた。織田信長がポルトガル宣教師に薬草園を作らせた言い伝えも残っている。ドライブウェイを使えば山頂直下まで車で行けるのでアクセスもよい。かつて運行したゴンドラは、現在運休中だ。
伊吹登山口バス停より三宮神社を経由し、スキー場跡地を進む。3合目付近からお花畑が見られ、山頂台地へ登ると見渡す限り一面のお花畑だ。樹木はほとんどない。山頂まで約4時間、山頂遊歩道周回は約1時間だ。

所要日数:日帰り
総コースタイム:約7時間
難易度:夏山登山初心者向け

サラシナショウマ群落の向こうに琵琶湖が見える。伊吹山は石灰岩地帯と豪雪地のため、森林が発達せず、お花畑が広がっている

サラシナショウマ群落の向こうに琵琶湖が見える。伊吹山は石灰岩地帯と豪雪地のため、森林が発達せず、お花畑が広がっている

オオハナウド。高山植物の中で最も大きいのが、本種とオオハナウド、オオカサモチ。幅の広い大きな葉がワイルドな印象だ

オオハナウド。高山植物の中で最も大きいのが、本種とオオハナウド、オオカサモチ。幅の広い大きな葉がワイルドな印象だ

8月上旬から9月下旬まで見られるアキノキリンソウ

8月上旬から9月下旬まで見られるアキノキリンソウ

文◉梶山 正、編集部 Text by Tadashi Kajiyama, PEAKS
写真◉梶山 正 Photo by Tadashi Kajiyama

(出典『PEAKS』No.67)

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