初級

2017.3.27

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高橋庄太郎と小雀陣二が山梨県の高川山へ。~「山を歩く、山で語る」番外編~

■今回歩いた人■

修正

左:小雀陣二(アウトドアコーディネーター)、右:高橋庄太郎(山岳/アウトドアライター)

『PEAKS』での連載「山を歩く、山で語る」第3回の山中対談の舞台は、アウトドアコーディネーターであり、アウトドア料理の達人としても知られる小雀陣二さんと行った、御坂山地の高川山。この山梨県の山は、小雀さんが「仕事」としては初めて登った山で、そのときも富士山の眺めがよい山頂でちょっとした料理を作ったらしい。今回は、冬のキリリと澄んだ空気のなか、そんな小雀さん思い出の山をいっしょに歩いた。
当日の集合は中央自動車道のSA。

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わりといい歳だというのに食い意地が張った2人は、朝からメシはがっつり。小雀さんは鍋焼きうどんで、僕は大盛りの天ぷらそばである。これでも僕は控えめの量なのだが、それはやはり山中で小雀さんが何か作ってくれることを期待していたからであった。

ある程度は腹を満たし、クルマで再び中央高速道。その後、JR初狩駅の横の道を通り、登山口近くの駐車場へ到着する。

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この林道は車高が低いクルマは底が擦りかねないほど凸凹が激しく、スリップもしやすい。四輪駆動車が無難だ。

 

さて、出発。駐車場から山頂までは1時間少々の道のりだが、クルマを使わず、初狩駅から歩く場合は30分ほど時間をプラスしてみておく必要があるだろう。

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山頂への登山道は林道の脇から延びている。このときは乾燥していて実に歩きやすかったが、濡れていると少々滑りそうではある。

少し登っていくと、こんなオレンジ色のネットが現れた。尾根上に長々と続いており、2人でこいつはなんだと話し合う。こういう場所にあるネット状のものは大概、食害をもたらすシカを遮断するために作られているものだが、それにしては低すぎる気がするのだ。高さはせいぜい僕の腰ほどで、シカならばジャンプして簡単に越えていける。

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だが、周囲の注意書きなどを見た結論は、やはりシカ避けのネットであった。これで効果はあるのかな? それに視認性を高めるためにオレンジ色なのだろうが、もっと地味なほうが山になじんでくれるとも思う。

 

この登りのコースには一か所分岐がある。山頂には同じように到着するが、手前の道は「男坂」と「女坂」の2コースから選べるのだ。事前知識はなかったが、こういう場合、傾斜が急で大変なのが男坂で、ゆるやかで登りやすいのが女坂と考えるのは、山の常識的発想。そこで僕たちは男坂を選択する。

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これは体力の問題ではなく、そのほうがおもしろい場所が多いのではないかと考えたからだ。起伏が緩やかな場所よりも傾斜がキツい場所のほうが、岩場があったり、展望台的な場所があったりと、地形の変化を楽しめる場合が多いのは、これまた山のお決まり的発想である。

 

男坂の途中で岩のくぼみが洞穴のようになった場所を発見した。登山道からはわずかに外れているが、落ち葉が吹きたまっていてフカフカしており、その前は休憩適地である。

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ここで小雀さんと長話。対談のテーマは「山の食事」としていたが、以前からよく知っている仲なので、お互いの近況や昔話など話はあちこちに飛んでしまう。それがまた楽しいのである。

 

この日は明るい陽射しに恵まれ、山歩き日和。それでも地面には長い霜柱が伸び、踏みつけるとザクザクと小気味よい音を立てて、冬の低山らしい気持ちにさせてくれる。

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周囲を見渡すと、木々の葉はすべて落ちており、とても明るい雰囲気だ。これが夏だったら、登山道は鬱蒼とした樹木で覆われているはずである。低山ならば、僕の好みは夏よりも冬。周囲の見通しがよくなり、蒸し暑くない冬のほうが歩いていて楽しいからだ。

 

山頂が近づくと、先に到着していた登山者の声が聞こえてきた。

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僕たちが歩き始めた駐車場に他のクルマはなく、これまでの登山道にも他の人が歩いた痕跡は感じられなかったので、おそらく別の登山道から登ってきた人だろう。

 

そして、小雀さんには10数年ぶりとなる高川山に到着。

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手軽に登れる山ゆえに、いつでも行けると僕は今まで歩いたことがなかったが、見晴らし最高で本当にいい山だ。冬でも簡単に登れることもあり、多くの登山者に人気があるのもうなずける。

 

「秀麗富嶽12景」のひとつだけあって、とくに富士山の眺めは抜群だ。

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富士山の手前に三ツ峠や丹沢の外れの山々が低く見えるのが、いいアクセントになっている。この景色を見るためだけでも、高川山には行く価値があるだろう。

 

山頂の脇には木製の箱があり、数冊のノートやアルバムが保管されている。以前この山頂付近に住み着いていたというビッキーという名前の犬に関するものだ。

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目を通してみると、文章を書き込んだ人、写真を撮った人の愛情が伝わってくる。ビッキーが死んでからすでに何年も経っているが、いまだ多くの登山者から愛され続けているのだ。

 

山頂では荷物を降ろし、とうとう小雀さんのアウトドア料理の時間に。

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今回は自宅にあった食材を中心に、具沢山のスープを作ってくれるという。そこに小雀さんの自宅近くで売られているという、おいしいパンが加わる。

 

はじめにウインナーと長ネギに焦げ目を入れて香味を出すのが、おいしさを引き出すひとつのポイントだ。

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それからの作り方は……。写真を見て想像してください。

 

晴れているといっても、さすがに1月の山は寒い。しかしダウンを着込んで、温かいスープを飲めば、なにも問題なし。いつまでもゆっくりしたくなってしまう。

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実際この後、ここでも長々と話し込んでしまった。

 

気付くと、山頂付近は僕たちよりも遅く到着した登山者でいっぱいだった。平日だというのに、軽く10人を超えている。

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そろそろ場所を空けたほうがよいかな……。僕たちは下山することに。

 

だがその前に、もう一度だけ周囲の景色を堪能する。

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今回の小雀さんの再訪が10数年ぶりだったように、次にいつ来られるかはわからない。この絶景を目に焼き付けておこう。

山頂の東側を見下ろすと、山麓にはリニアモーターカーの実験線が延びており、山中のトンネルに入っていくのがよくわかる。

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ちなみに、この高川山の山頂のまさに真下にも、リニアモーターカーの実験線のトンネルが通っているのであった。

 

帰りは登りとコースを変え、分岐を女坂のほうへ進みつつ、さらに別の分岐から沢コースへと入っていく。

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途中には、玉子石という大きな岩があり、しめ縄をかけて祭られていた。近くに寄れないのが残念だが、沢コースのよいポイントになっている。

 

そこからもう少しだけ歩くと、高川山への入山に使った登山口に到着。あとは駐車場へと数分歩くだけだ。

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このようにループ状に歩いても、このコースならば高川山往復は2時間30分ほど。速い人ならば2時間もかからないだろうが、僕たちはのんびり歩き、山頂での食事や会話も楽しんだので、5時間以上に……。しかしこういう低山は、急がずに行動してこそ、面白いのである。

道具のピックアップ!

歩行中に小雀さんがサイドに取り付けていたものは、8年くらい前に購入したイクイノックスのボトルホルダー。現在は廃番であるが、容量1L以上のボトルもすっぽり収まる深さと太さがある。どこにでも取り付けられるのが便利で、一時はこれをバックパックの左右に取り付け、大量の飲み水をキープしていた。そして、今回の山中料理でも活躍してくれたクッカーはコールマン「パックアウェイクックセット」。それほど薄くはないアルミ素材で軽さを追及するようなタイプの製品ではないが、むしろ熱の通りがよく、料理には便利。内側にはテフロンコーティングが施されていて汚れを簡単にふき取ることができ、鍋底には滑り止め加工がプラス。どんなバーナーと組み合わせてもクッカーが滑らないので安心とのこと。

僕・高橋がバックパックに取り付けていたものは、僕のアイデアを製品化してもらったザ・ノース・フェイスの「アクセサリーポケット」。発売後に少しずつリニューアルされて今は少し形状が異なっているが、僕がいちばん気に入っているのは、小ぶりのサイズにデザインされたこの初期モデルだ。体の左側に取り付けておくと僕の利き手の右手をすぐに伸ばすことができ、ここに入れたカメラをラクに取り出せる。僕にとって、なくてはならない山道具だ。黄色いポーチは、パーゴワークス「スウィング」。昨年、山中でテストしたときに気に入ってしまい、そのまま購入したもので、強靭なX—PAC素材といい、入れ口はベルクロで留めるだけという簡単さといい、非常に僕好み。当初の鮮やかな黄色が少しずつくすんできていて、それがまたいい感じなのである。

今回歩いたのは…

■ルート■
「御坂山地・高川山(登山道入口~男坂~高川山山頂~沢コース~登山道入り口)」

■アクセス■
登山口手前の駐車場まではクルマで行けるが、林道が荒れているため、四輪駆動車でなければ少々危ない。また駐車場は狭く、数台しか停められないので注意。歩行距離は長くなるが、週末などの混むタイミングはJR初狩駅から歩くのが無難だ。


■コースタイム■
2時間30分


写真◎菅原孝司

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