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2018.6.15

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筆とまなざし #094「梅雨の中休み。鎌を片手に小屋周りの草を刈る」

梅雨に入り、辺りの草木が一気に茂り始めました。小屋の周りの雑草も背丈を伸ばし、しっとりと湿り気を帯びています。小屋が草に覆われてしまわないようにするためにも、湿気を少なくするためにも、そろそろ草刈りをしなければいけません。

草刈りは年に1〜2回行なっています。ずぼらな性格なので、その程度で済ませてしまっている、といったほうが正確かもしれません。作業を始めてしまえば1時間ほどで終わるのですが、なかなか重い腰が上がらないでいました。

梅雨の中休みの今日、下草刈り用の大きな鎌を持って小屋へ向かいました。小屋を作る際、出来る限り電動工具を用いない、というルールを課しました。たとえば、電動の丸ノコは使わずに普通のノコギリを使うといった具合です。ですから、草刈りも草刈り機を使わずに、鎌を使うことにしているのです。使うのは、全長1.5mほどの、木製の長い柄が付いた大きな鎌で、昔から山での下草刈りに使われてきたものです。とても鋭く、微妙に曲がったその姿は死神の鎌をも連想させてなんとも恐ろしいのですが、細い枝だったら伐れてしまうほど威力があってなかなか重宝します。

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細いササ、ヨモギ、伸びきったワラビ、そのほかの雑草。枝を伸ばしたツツジもついでに刈っていきます。大きく鎌をひと振りすると、ザッくと気持ちの良いように刈れるのですが、細いササなどはなぎ倒されるだけでなかなか刈ることができずに厄介です。汗をかきながら小1時間ほど鎌を振り回すとなんとか小屋の周りの草を刈ることができました。

小屋の周りにはいくつか、アザミが花を付けていました。アザミはぼくの好きな花のひとつです。トゲトゲして触るのは躊躇われますが、柔らかな雨を纏った紫色の花は、子どものころから見てきたなじみ深い野花。草刈りが終わってからスケッチしてみました。刈ったばかりの草の上にかがみ込んで絵を描いていると、アザミの紫色は、ぼくがよく使うライラックという絵具の色とほとんど同じだということに気づきました。朝焼けや夕方の空、影などを描くときにはなくてはならないライラック。アザミが郷愁を誘うのは、その色合いにもあるのかもしれません。そんなことを思いながら描いていると、汗ばんだ身体にどこからともなく蚊が群がってきました。草を刈れば蚊も少しは少なくなるかな。いつの間にか、もう夏がすぐそこまで来ています。

 

【連載一覧はこちら!】

 

成瀬洋平
Yohei Naruse

1982年岐阜県生まれ。山を歩いて見聞きしたことを絵や文章で表現することをライフワークとする。雑誌への執筆のほか、展覧会や水彩画ワークショップも開催。雑木林の中に自力で制作した小屋で制作に取り組みながら、地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画などにも携わる。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/naruseyohei
ウェブストア https://naruseyohei.stores.jp

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